櫂未知子句集『カムイ』に感動

櫂先生の句は以前からいろんな俳句の本や歳時記などで拝見して、自分の好みの句が多いなと思ってました。そして、櫂先生の句集『カムイ』が第57回俳人協会賞を受賞したと知って購入してみました。読んだ感想は、すごいの一言です。何という感性でしょう。しびれました。好きな句を30句くらい紹介したいところですが、営業妨害になるといけないので、特に好きな句を10句だけ紹介したいと思います。

  1. 南風吹くカレーライスに海と陸
  2. 母はまだ父に恋して蠅叩
  3. 卒業や見とれてしまふほどの雨
  4. 夕立や肌よりにほふ正露丸
  5. 冬ざれや不思議な免許持つをみな
  6. ためらはず聖菓の上の家を食ぶ
  7. 正面のいつも決まらず風信子
  8. 経験の多さうな白靴だこと
  9. イブノーシンセデスバファリン一葉忌
  10. 風鈴を外し忌中となりにけり

1の句については、カレーライスに海と陸があるという物の見方がすごいですね。子どものころからカレーライスを食べ続けてきて、カレーライスに海と陸があるなどということは考えたことがありませんでした。そういう発想だけでもすごいのに、これに「南風吹く(みなみふく)」という季語を取り合わせるところがまたすごいです。太平洋側の地域であれば、南風は海から吹いてきます。こういうのを即かず離れずの絶妙な取り合わせというんでしょうね、きっと。

2の句については、「母はまだ父に恋して」というロマンチックな内容に対して、「蠅叩」というロマンチックの欠片もない季語を取り合わせています。自分のような凡人なら、花の季語とか、ロマンチックな香りがする季語を取り合わせてしまい、「即きすぎ」と指摘されてしまいそうです。長年連れ添っているお父さんに今でも恋をしているお母さん。しかし、長年連れ添った夫婦なのでそこには日常があります。ロマンチックなことなんてそんなにないでしょう。そういった日常の代表みたいなものとして「蠅叩」という季語を取り合わせているということでしょうか。すばらしいですね。

4の「肌から臭う正露丸」もいいですね。夕立の独特の臭いと正露丸の臭い。何か通じるものがあります。

5の不思議な免許をもつをみな(おばあさん)はどんな免許を持っているんでしょうね。このをみなのことを詳しく知りたくなります。

9の頭痛薬を列挙した句。こういう遊び心のある句は大好物です。

『カムイ』は、紹介した句以外にもすてきな句が満載の句集です。個性的な句が好きな方には特におすすめの句集です。

カムイ
櫂 未知子

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