坪内稔典さんの句が楽しい

以前から気になっていた俳人・坪内稔典さんの句集『坪内稔典句集II』を購入しました。いつもどおり、おもしろいと思った句を10句選んでみました(おもしろい句が多すぎて、10句では足りないのですが、あえて10句に絞りました)。

  1. せりなずなごぎょうはこべら母縮む
  2. タコ焼きの蛸の弾力花曇り
  3. 自転車に翼ある日よたんぽぽよ
  4. 炎天をちょろりと舐めて青蜥蜴
  5. 梅雨続く小錦十人いるような
  6. 風鈴や午後に始まる母の愚痴
  7. 風花や中森明菜的埴輪
  8. 桜散るちょっと舌出す癖が好き
  9. 立春や心にちょんと鬼がいて
  10. たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ

1.の「せりなずな」の句はよく意味がわかりませんが、リズムもよくてとにかく楽しいです。これとペアになるような句として「ほとけのざすずなすずしろ父ちびる」というのもあります。

3. の「自転車」の句。自転車に翼がある日って何かうきうきしますね。「たんぽぽ」がひらがななのも効いているような気がします。

5. の「梅雨続く」の句。小錦さんが10人いたら確かにうっとうしいです。「うん、わかるわかる」という感じがします。

6. の「風鈴や」の句は、母の愚痴と風鈴がうまく響き合っているような気がします。風鈴の音色は暑さの中にあって、ちょっと心地のよいもの。母の愚痴もそれほど嫌なものではないのかもしれません。

7. の「風花や」の句の中森明菜的埴輪は、何となく絵が浮かんで来ます。その埴輪イメージできます。

9. 「立春や」の句の心にいる鬼は節分の鬼でしょうか。楽しい句です。

10.  の「たんぽぽの」句も実に楽しい句です。たんぽぽのぽぽのあたりってどのあたりなんでしょうか。

この句集にはちょっとしたサプライズがありました。坪内先生の直筆と思われるメモが挟まっていたことです。こんなメモでした(公開していいですよね)。

この句集には掲載されてる稔典さんの句以外で、私が大好きな句がほかもあります。次の2句です。

  • がんばるわなんていうなよ草の花
  • 桜散るあなたも河馬になりなさい。

坪内先生の真似をして、私も『俳句αあるふぁ(2018年)冬号』の「あるふぁ俳壇」に河馬俳句を1句投句しているのですが、果たして結果はどうなるでしょうか。結果が楽しみです。

12/15追記:『俳句αあるふぁ(2018年)冬号』に投句した以下の拙句が、「入選」「佳作」には届きませんでしたが、予選通過句として掲載されました。

天高し河馬一斉に深呼吸

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“坪内稔典さんの句が楽しい” への1件の返信

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